夏の終わりのロマンス
暑かった8月も残すところあとわずか。
ひさしぶりにアヴェンヌで演奏を披露してくださったのはピアニスト久納卓さん。
夏の終わりの一夜、力強く、かつ繊細なピアノの音色がサロンを包みました。
1st. Stageではスカルラッティからスクリャービンまで、時代と地域を超えた様々な作曲家の小品を取り上げてくださいました。
シベリウス「樅の木」では、フィンランドの寒い静かな冬を思わせる深みのある音色を、ショパンやスクリャービンのエチュードでは、さすがのテクニックを披露。
幅広いレパートリーと豊かな表現力はさすがです。
久納さんのお姉さんやご友人もお越しくださり、ステージ間には楽しそうな笑い声も聞こえてきました。
そんな中、カウンターのお客様からのリクエストで、私も1曲演奏させていただきました。
いつものことながら「こんなことならちゃんと練習しておけば・・・」と思いましたが、楽しんでいただけたようでほっとしました。
温かく聴いてくださったお客様、快く演奏させてくださった久納さん、本当にありがとうございました。
2nd. Stageではリストの大曲「詩的で宗教的な調べ」より、「葬送」「アンダンテ ラグリモーソ」「愛の讃歌」の3曲を演奏してくださいました。
“宗教的”で荘厳な響き、力強く美しい音色、お客様もその迫力ある演奏に思わずため息。
ドイツ留学からの帰国後、各地でのリサイタル、コンクール出場と精力的に活動する久納さん。
止まることなく進化し続けるピアニストが届けてくれた“夏の終わりのロマンス”でした。
こころ♪